秋の尾瀬の天は微笑む PART3


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さよならもや。




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結局、フカさんは現れなかった。

これが見れないなんて

残念だ。

(起こせよ)







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テント場に戻ると
フカさんが丁度テントから出てきたところだった。




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「起こしてよー!」

朝靄の美しさを伝えた時に返ってきた言葉は

当然それだった。


「自分で起きれないのが悪い。」

とは言わなかったが、それに近いニュアンスでやんわり応えたのは覚えている。


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さて、テント場に少しずつ陽が入ってきたので
テントをペロッと外して笹の上でしばらく乾かす。

その間は寝袋でヌクヌク。

撤収の際に
荷物を室内から取り出さなくてもいいのがワンポールテントの良い所である。




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フカさんが奥で黙々と撤収している間もヌクヌク・・・。


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ふと時計を見ると、8時をだいぶ回っていた。

これはいかん。

9時出発予定なので
とりあえずグリグリとザックに押し込んで片付ける。


9時を10分ほど過ぎて
なんとか出発できた。




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さようなら、下田代とホテル街。




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さて、この後のルートをどうするか。

まだ正確には決めていなかった。

「その時の気分次第」と、フカさんの気分を優先させる事にしていた。




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●このまま来た道を引き返すか。
●アヤメ平を経由して鳩待峠に戻るか。


フカさんにこの選択肢を事前に振っていた。


竜宮の分岐で彼の返答を待つ。


すると、そこで休憩していた団体の中のお姉さんたちが

「行ってきなよ!」

盗み聞かれていたのか。

こうなると、お調子者のフカさんは黙っていない。

「ですよね!!」


2人はアヤメ平へ向かった。




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「いってらっしゃーい!」

後ろでお姉さま方が手を振っている。

思いがけぬお見送りだった。




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さて、コチラの樹林帯は紅葉が良い感じである。




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序盤は緩やかな横移動なので

「あれ?ここってこんなに楽だったかな・・・。」

なんて思っていたのだが

人間という生き物は都合の悪い思い出は忘れてしまうもので

キツイ登りの思い出は汗だくになってようやく蘇ってきた。

このルートは約6年振りである。



木道が現れると徐々に緩やかとなり、気分はいくらか楽になる。

いやマジでしんどい登りだった。




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11時20分

ようやく富士見田代の小沼へ。

フカさんは
流行りの足入れ風景写真にトライしているようだ。




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なんとか逆さ燧が撮れるかな・・・っと。


まあ、充分でしょう。




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続々と人がやってくる。
富士見下からこんなに人が上がってくるんだな。

しばらくそれを見送ってから先へ進む。


・・・・。


そうそう。

この天空回廊がたまらなく好きな私である。




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フカさんがえらく感動している。

「こっち来てよかったー。」

まだまだこれからですからと、僕は冷静に彼に伝える。


その先
それは天に続く道。




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からの、アヤメ平ドン。



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相変わらず、このどこかゆっくりした雰囲気がたまらない。


「ちょっと、戻って。」と、フカさんに指図する。

少し戻らせて、燧ケ岳をバックに再度彼を歩かせる。

うん、いい絵だ。




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平和な一日である。




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ここでゆっくりしようか。

なんて考えていたのだが

残念ながら二人ともお昼ご飯用の食材を用意していなかった。

いや正確に言うとあるのだが
アルファ米系なので面倒臭いという事だ。

「もう腹が減って無理。」

というフカさんの一言で、二人は先へ進む事にした。




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気持ちの良い木道歩き。

まるで尾瀬を歩いているとは思えないその風情がなんともステキである。


個人的には、至仏山よりも燧ケ岳よりも

このアヤメ平と横田代が遙かに好きである。


そんな、個人的に一番のスポット・横田代。



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気分が良いので
フカさんにポーズをとってもらったのだが
いやどうもウソ臭くてアウトだ。




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樹林帯に突入すると
あとはスパッと下るのみ。

途中に長い団体の列があったが
2人はスイスイと追い抜いていった。




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13時30分

下山。



「大盛りにしようか?」

と、食堂のお姉さんに勧められて、大盛のカレーを食べた。

僕はコーラで喉を潤し、フカさんはアイスで体をクールダウンさせた。


丁度バスの時間だった。

運転手さんの丁寧なアナウンスで、道中の紅葉ピーク地点で皆で見惚れて

尾瀬の2日間は終わった。


・・・・。


久しぶりの尾瀬。

こんなに近いのに、夏山期にはいつも後回しにされてしまう存在。

でも来てみると、毎度のようにその魅力に憑りつかれるのである。


「次は無駄に2泊したいね。」


これも、下山後にいつも出てくるセリフである。

もちろん、燧ケ岳も至仏山も山頂を獲らずに、だ。

当然、もったいない登山だ。


それが叶うのはいつになるだろうか。

また突然

「そっか、尾瀬でいいや。」

なんて、直前でふと思いついたときに

それは実行されるのだろう。


僕たちのことだ。

そうに決まってる。




おわり
by inouewood | 2015-11-11 23:55 | 山のこと
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