やってまいりました我らがM・ヴォ―ンの痛快作です。 まずは何て言っても、なぜあの役にコリン・ファースを据えたんでしょうね。この超絶違和感が生む強烈なカッコよさ。これがすべて計算通りならばヴォ―ン氏はマジで天才です。 特に”教会”のシークエンスはもう素晴らし過ぎてポップコーンを口に運ぶ手も動きませんでしたね。あのシーンだけで1800円の元取れますから。ファース氏×全力アクションという最高のランデブーに酔えた方はホントに幸せ者だと思います。。 さて、前述の通り監督は『キック・アス』で生粋の映画ファンたちをも虜にし、エンタメのニュースタイルを作り上げた雄・マシュー・ヴォ―ンなわけですが、彼と言えば『キック~』や『X-MEN/ファースト・ジェネレーション』でも魅せつけた、まさに箱の中に隙間を一切作る事なく敷き詰めるようなギッシリ感が特徴で(その兆候は『スターダスト』あたりから既にありましたね)、今作もビッチリとやりたい事やってくれちゃってます。更にこの監督の素晴らしいところは、良くも悪くも『ノーラン=ダークナイト』から始まった(と個人的には思ってる)ヒーロー物のシリアス化現象に歯向かっているところですね。残念ながら今や007までその路線でいっちゃってますから、古き良きスパイ映画を愛するヴォ―ン氏は「そーいうのじゃないんだよ!」という抑えきれない思いをこの映画にブチ込んだ事でしょう。我々はただそれを両手を広げて受け止めればいいんです。もともとこの監督に不謹慎という言葉は通用しませんし(笑)、あくまでもスパイ映画として展開されるこのストーリーにあって、あの印象深い”花火”シーンを持ってくるわけですからね。もうあれは大爆笑でした。あれほど皮肉満載且つ痛快なシーンはなかなかないですよ。リアルに、一緒に両手を広げて「ドーン!」ってやりたくなりましたよ。 まあそんな感じで、ひとつひとつのシークエンスにしっかりと見どころを持ってくる構成力には毎度脱帽です。 さて、内容に関してはこれ以上突っ込みませんが、C・ファース以外の役者さんたちも見応えアリです。まあ何て言ってもタロン・エガートン君ですが、もうね、カッコイイですよ。あの若さにしてあの落ち着き。素晴らしいですね。安定のサミュエル候も久しぶりにハッチャけてた感じで、そのBボーイ感が程よく緊張も解してくれます。「これはパロディなんだよ」みたいな感じでね。あとは『キック・アス』で爆死させたマーク・ストロングへのヴォ―ン氏の優しさが伝わる役柄にはもう胸熱過ぎて言う事ありません。 なんだか、ゴチャゴチャッとただ書きたい事書き連ねた感じになってしまいましたが、まあ結局何が言いたいかと言うと、「最高」って事ですよ。はい。 最後に。この映画も続編の話が進んでいるようですね。でもね、僕はもう期待しませんよ。『キック~』の続編を『X-MEN~』を撮るために投げ、そしてその続編『X-MEN/フーチャー&パスト』も脚本だけ書いて「やっぱこーいうの撮りたいんだよね」とか言ったかどうかは分からないけど、そちらの監督もまた降板してまで今作を撮った人ですから。もうそーいうサイクルで動いてないと死んじゃうんじゃないかって思いますよこの天才は。 なので、続編はほどほどの感情でお待ちしております。
by inouewood
| 2015-09-20 02:32
| 映画のこと
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