鳥海山 ~ネバーエンディング・ストーリー~ PART5


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鳥海湖に

さよなら。




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南に進路をとると
蛇石流分岐へと続く下り道。




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これからとるルートは
上写真、雪渓を下り谷あいを進み中央の湿原へ。
そして後方の山、小さな雪渓×3あたりにある沢を越えて
先日の河原宿後に合流するコースだ。

あそこ、登り返すのか・・・。


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振り向くと名峰。

が、天気が良過ぎて見えない。




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少し進むと、まずは問題の雪渓。

何が問題か、というと
この少し先、傾斜40度クラスの雪渓下りとなる。

かなり足場は良くないようで、先日小屋のご主人から

「軽アイゼンしか持っていないなら、あのルートはおススメしない。」

と、告げられていた。

どうも、それでは爪がほとんど掛からないらしい。

「来た道を戻った方が賢明。まあ、手前まで行って見てみたら?」

との事だったので、とりあえずここまでは来てみた。




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軽アイゼンを装着して下降してみると
どんどん傾斜が増してくるし、確かに時折ズルッといく。

そして、雪渓下りのゴールはまだまだ先だった。

「これは・・・やめておこう。」

と、一旦雪渓部から離脱する。

まあでも、ここから引き返すのはどうなんだろう。


そこでいろいろと案を探ってみる。

左手に沢があった。

そこから眺め、進む方角等を確認してみると
どうやら下方で雪渓と合流しそうだった。

よし、行けるとこまで降りてみよう。




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仕事もアドベンチャー派のマコちゃんが先導し、軽快に下る。

すると、意外とあっさり分岐点に合流できた。


下部から見上げる問題の雪渓は、やはりとてもエグイ角度だった。


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安堵すると、風景がガラリと変わる。

木道を少し進むと、想像していたよりも遙かに広い湿原が現れる。


9時10分

千畳ヶ原。




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この山の裾野の大きさに、改めて圧倒された瞬間だった。

鳥海山を望むその風情は
今までのそれとは全く違う、どこか優しい山容が目の前に。



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誰もいない。

静かな時間。

ベンチに腰掛け、少し目を瞑る。

しばらくそのまま。

そして上を向いて、目を開けた。


青い空と


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ん?




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凧・・・。


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!!!




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いつの間に・・・。


瞑想に耽っていた僕の隣、無言で準備をしていた男。


強風に凧が舞うと彼は

「早く!早く!」

と、何かを僕に急かしてくる。

どうやら、早く写真を撮れという事らしい。


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時間にして約10分程度のフリータイム。

終了。



そして気持ちの良い木道歩きがまた続く。



当然のように、気分が上々のふたり。

そしてやはり、マコちゃんが切り出した。

「BGM、かけましょうか。」

そうだ。

今はまさに、そんな気分だ。

僕は迷う事なく

『ネバーエンディング・ストーリー』を、DJにリクエストした。


再び我々を支配するファンタジー。


ファルコン。今、行くからね。




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しかし
ファルコンの背中だと思っていたそれは

これからアタックする幸治郎沢と月山森だった。




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それでも
束の間の夢の世界は

男たちに大いなるエネルギーを与えたという。


時折、水浴びしながら

沢を難なく飛び越えていく。




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振り返れば
夢を越えた素晴らしい景色。

もう、こんなに歩いたのか。




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この日最後のヤマ場を越えると
辺りはなだらかな雪渓歩きとなる。

どうやら
下から上がってきて、この月山森周辺でランチして帰る人たちもいるようだ。

それもまた、ステキな時間の使い方だと思う。




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10時40分

河原宿小屋跡の合流地点。




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先日はここから拝めなかった鳥海山。

この日は全開。




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最後の長い休憩で、この山で得た多くの思い出に浸る。


そして
さよなら鳥海山。




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このタイミングで
まるで終演の白い幕を下ろすかのように
眼前の頂はあっという間にガスで覆われた。


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後は先日来た道を戻るのみ。

さっきまでの世界は嘘のように、この先はずっとガスの中だった。




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12時

下山。


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帰りは美味い飯と温泉を求めて日本海へ。

そして長い長い帰路についた。


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今まで

「遠いから」

という理由で、この山を避けていた自分が恥ずかしくなる程の素晴らしい山だった。


一時は行先がブレまくっていた今回
失いかけていた、どこか懐かしい”勢い”のようなものが僕たちにはあった。
我ら同い年という間柄が生む、一癖も二癖もあるエネルギー。


この旅だけでそれは終わるのか、それともこれが始まりなのか。


終わりなき物語。


この歌との再会は、必然だったのかもしれない。





おわり
by inouewood | 2015-08-01 03:25 | 山のこと
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