雁峠と笠取小屋とまさかの失態 PART2


PART1はコチラ

13時40分

雁峠分岐。



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笠取山へ向かうには右へ。

僕は吸い込まれるように直進し雁峠へ。






・・・・。


美しい草原。



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右手には笠取山。

いやいや急な登りですね。



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心地良い風に揺られ歩くと燕山が近づいてくる。

目的地でもあるその鞍部はすぐそこ。



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13時50分

雁峠。



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雑誌で見ていた通り
僕の牧歌魂を大いに揺さぶる峠美である。



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さすがにここだけ風が強い。

寒い。寒いぞ雁峠。

ジャケットをテント場に置いてきてしまったな。
あまり長居出来そうにない。



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セルフに没頭。



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燕山側からも。



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いい。
いいよ。

笠取山の整った山容がまた峠美をアゲる。

お次はくつろいでいる風セルフだ。



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遠すぎてわかりにくいが、ベンチで横たわっているのが僕だ。

・・・・。

そんなこんなで
清々しい時間はあっという間に過ぎていく。

鼻水が止まらなくなってきた。

ここまでだ。

さようなら。雁さま。



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少し戻ると、そこには中央分水嶺がある。

雨水はここで荒川と多摩川と富士川にそれぞれ旅立つ。

分水嶺というものに、どことなくロマンティシズムを感じる。



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時計を見るとまだ14時30分。

目の前の笠取山へはここから約40分。

全然行ってやれない事はない。

でも

「なんかもう、面倒くさいや。」

この事である。


ファッと向き直り、小屋へ引き返した。



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笠取小屋には
相変わらず誰もいなかった。



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とりあえず、テント内で横になる。

ビールが無いので持参してきたおつまみも開ける気にならない。

ああ、いまいち気分が乗らない。


そしてすぐに睡魔がやってきてウトウト。

・・・・。

なにか夢を見ていた。

時間にして僅か30分ほどだった。

その内容は覚えていない。

ハッ!と飛び起きた瞬間だった。


「下山しよう。」


迷いはなかった。

夢の中の何かが僕を導いたのか。

それはよく分からないが、とにかくこの後の撤収作業は尋常じゃないくらい早かった。

もはや、僕ではなかった。



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15時50分

さらばだ。笠取小屋。



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下りは一休坂経由でズバッと下る。

とにかく
ビールが飲みたかった。



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だって、そうだろう?

スミレちゃん。



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16時55分

下山。


車を開けると
置いてけぼりにされた保冷バッグがこっちを見ている。

やはりお前かお前なのか。

夢の中で僕を。


すぐに車を走らせ、道の駅へ移動。

隣接する温泉で汗を流し、折角なので冷えたビールを購入して車へ。

もう飲みたくて仕方ないので、この日はこのまま車中泊だ。


「ビールって、こんなに美味しいものなのかしら。」


基本的に酒は弱いので、いつもチビチビと減らしていく僕だが
この時ばかりはガブガブガブリエル。ガブリエルバーン。

お肉もジュージューして至福の時間。

保冷バッグのビールもいつの間にか消化していた。

飲み過ぎた。

ただ、幸せだった。

ポワンとした気持ちの良い眠気を僕は快く受け入れた。


・・・・。


6時。

外に出ると
向かいにはキャンピングカーが一台。

その主である老夫婦がちようどコッヘルを濯いで戻るところだった。


お互い軽く会釈して車中とトイレにそれぞれ消える。

言葉は必要なかった。


自分もあんな感じて車中泊しながら日本一周したのはもう8年も前の話。

そんな事を思い出しながらトイレから戻ると、僕は静かに車を走らせた。


・・・・。


ここはまた来なくちゃいけないな。

夢で終わった夢プラン。

つぎにそれを叶える時、本当の幸せがそこに。



おわり
by inouewood | 2015-05-25 15:06 | 山のこと
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