映画 『エベレスト 3D』 はどうだ


やってまいりましたハリウッド作の一級山岳映画です。



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公開直後に観ていたにも関わらず
インスタグラムに短文レビューをアップして満足しておりました(笑)。

さてこの映画は何ていっても、世界中でこの手の映画が増えてきている近年にあって、ついにハリウッドの超大手が本気の本気で実話山岳モノを作ってきたという事に意義があるわけですね。3Dなんてものはね、おまけですよ、おまけ。
そもそものスケールは間違いないのでそれだけでも充分すぎるほど価値があります。もちろん私は大満足でした。

まず念頭に入れておかなければならないのが、これが実話だという事なんですが、もちろん脚色もされているでしょう。実際は登頂時に台湾隊もいたみたいですね。ただでさえどれが誰だかわからなくなる作品なので(笑)これでも的を絞ってより分かりやすくしてくれているようです。

そしてコレを観たいろいろな人の感想を目にして、なるほどなと思わされた事がありました。それは登山をやっている人とやっていない人で、この映画に抱くものが全く違うという事。やっていない人に言わせると、この映画の感想は「自然の恐ろしさに圧倒される」という類のものがやはり多いわけです。でも山やさんはそこじゃなくて「ひとりひとりの判断の是非」ここにやはり考えさせられるようです。もちろん僕もそうで、優しささえも仇になるシビアな描写には胸をえぐられる思いでした。
ただ、そんな個々の判断を否定も肯定も”させない”描き方で表現した事は、なんともハリウッドらしくない理性的且つ真面目な対処で、「ハリウッドも捨てたもんじゃないな」と感心させられたわけですね。

さあこの映画のもうひとつの魅力はやはり超豪華な出演陣ですね。まずは悪役面なのに良い奴も違和感なく演じられる貴重な俳優ジェイソン・クラークですね。彼の優しさはこの映画になくてはならない重要な鍵なのでこれ以上はない配役だったと思います。なんとなく、スター性の薄い彼が(失礼)ハリウッドで重宝される意味がわかる気がしました。
そして脇を固めるのがジェイク・ギレンホールにサム・ワーシントン、ジョッシュ・ブローリン、キーラ・ナイトレイなわけですが、まあ贅沢ですよ(笑)。よく引き受けたな!ってくらいの役ですから。でも説得力がグンと上がったのは間違いなくこのスター勢が外堀を埋めていたからでしょう。特にJ・ブローリンの展開に関しては(実話なので本来彼がどうこうってわけではないはずなんですが)、「うぉー!さすがジョッシュ!!」って思った人いる思います(笑)。
他にもツボな配役だったのは、個人的に贔屓にしているマイケル・ケリーで、あの有名作家J・クラカワーを演じているオシャレさ。そしてお久しぶりエミリー・ワトソン姉さんの安定感。これはたまりませんね。

そんなこんなで、かなり重く心に響くこの映画ですが、他にも当時の商業登山の実情を余すことなく見せている事や、7サミット制覇のラストだった日本人女性がいた事実とそれをとても丁寧に描いてくれた事に、「誠実な作り手にこの映画の製作が回ってくれて最高に嬉しい。」と、ひとりの山やとして強く感じさせてくれました。
この映画を観て、また少し山が好きになった気がします。
山に”登る”事はもちろんですが、山について”考える”事も同等に素晴らしいものだと教えてくれる作品だと私は思ってますし、思ってもらいたいです。

またひとつ、ステキな映画に出会いました。
by inouewood | 2015-12-11 12:37 | 映画のこと
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