烏帽子岳 雲と月 PART3


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まさかの太陽。




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戻るべきか、戻らざるべきか。






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また15分くらいかけて戻るのは大変億劫である。

ここはグッと歯を食いしばって引き返す事にしよう。

そう。夕陽なんて最初からなかったんだ、と・・・。




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実際、陽が出たのは5分足らずで
あっという間に辺りは元の姿に戻ったのであった。


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テント場への帰還は17時40分。

なかなかいい時間である。


どうやら僕は
テントの入口をフルオープンのまま出かけていたようだ。




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戻ったらこの状態でホントにビビった。

平和な国に生まれてよかった。


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その前に小屋に寄ったのだが
どうやらジュース類は売り切れとの事。

コーラでプシュっとしたかったのだが残念。

さてお楽しみの夕食を、という事で

コッヘル等の準備をすると、驚愕の事実が判明する。

カートリッジがほぼ空だった・・・。

前日に新品を買っていたのに、入れ替えるのを忘れていたわけだ。

なんて事だ。一人だとこういうミスがあるから怖い。

どうしよう、少しだけなら火は出そうだ。

とりあえず、火をつける。

モツ煮のパウチをコッヘルに開けて温める。

そしてその役割は2分ほどで終了した。

お米も、食後のコーヒーも、朝のスープも飲めないのか。
こんな事なら、せめてビールでも買っておけばよかった。

コレはあれだな。ピンチだ。

少ないモツ煮を一気に平らげる。

絶対、夜に腹が減る。

とりあえず、柿の種と水で腹を満たす。


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しかし、あれだ。寒いぞ。

ワンポールテントはやはり風がピューピュー入るな。

この時期はシュラフカバーが無いとやはりキツイのか。

これはダメだ。

もう寝るしかない。

18時30分。

僕は無理矢理、寝る事にした。


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21時。

寒くて目が覚めた。

すると、外がやたら明るい。

最初はヘッドランプを消し忘れたのかと思い、辺りを見回すと
僕のテントの壁に笹のシルエットが浮かび上がっていた。

これは、とビックリして外に飛び出す。




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強烈なまでの月明り。

その美しい絵にテンションが上がり
僕は写真を撮りまくっていた。

もはや三脚を出すのも面倒臭くなり
手持ちで夜景をパシャパシャ撮り続ける。
当然のように、ほとんどがブレまくっていた。




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えーい。
だったらこうしてやる。

と、あえてグリンと4分の1回転。




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「夢の中、入ります。」的なその絵にひとりご満悦。

そんなこんなで30分くらい、外ではしゃいでいたら
さすがに寒くなってテント内に戻り寝袋に包まった。

後はいつものルーティン。
カメラの画像整理中に襲ってくる睡魔を受け入れて、その日を終える。



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寒さに何度も目が覚めた。

それを繰り返していると、ようやく5時を迎えた。

さて、この日の予定はまず
前烏帽子岳で日の出を拝む。

あわよくば、朝焼けに染まる烏帽子岳のオベリスクを拝み倒す。

そんな作戦だった。


5時10分

出発。




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10分もすれば東の空が赤く染まり始める。

これは期待できそうだ。




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5時28分

前烏帽子岳。




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また来ましたよ。烏帽子さま。




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その10分後に

浅間山の背から陽が昇る。




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烏帽子様の背後に鎮座する剱立山が少しずつ染まる。




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よーし!!

と、思った矢先だった。


太陽は、雲に覆われた。

今度は朝焼け未遂だ。

「やってくれたな。」

真っ先に出た言葉がそれだった。

目の前は、普通の烏帽子さま。




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まあでも、これ以上ここで待っていても仕方がない。

この先の烏帽子田圃も見ておきたいので
あまりここで時間を使っていられないのだ。

仕方なく先へ進む。

とは言っても、セルフをやる時間はあるのだ。




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そしていくらか経つと
先日同様、時間差で少し染まる烏帽子。

まあ、コレはコレでいいじゃないか。




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ひと気の全くない道をえいやーと進むと
そこには何とも”らしい”風情。

南沢岳の山容も個人的にツボである。




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いい。とてもいいよ。


強い日差しを感じて右を向く。

そこは、すすきゴールド。





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左を見上げれば、逆さ烏帽子。




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日本庭園チックなこの空間を独り占め。

贅沢だ。


もちろん、ここでもセルフだ。

もはやこれが一番の贅沢。




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さてさて、セルフにも熱が入りすぎてしまって
思っていた以上に時間を使ってしまった。

テント場でボヤボヤする時間がなくなる。

僕はササッと引き返した。



これでホントにさよなら。

烏帽子さま。

また、会いに来ます。




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寒い。

道中、鼻水が止まらない。

小屋に着くと、僕は真っ先にコーヒーを頼んだ。




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朝、まだ真っ暗だった時間に
僕がヘッドランプを灯して小屋の前を通ると
小屋のご主人が外でせっせと仕事をしていた。

ご主人もそれが僕だったと分かっていたようで

「日の出、良い所で見れましたか?」

と、声をかけてくれた。

朝焼け未遂だった事はもちろんこちらでも把握していたようで

「もう少しだったのにね、残念だったね。」

前日の夕方にもご主人に声をかけてもらったのだが
ここの小屋の方々はテント組にもとても親切に対応してくれて、なんとも気分が良かった。
ここへ是非小屋泊で再訪したいと強く感じたテント組は僕だけではないはずだ。


7時50分にテント場へ戻ると
4張りあったテントはすべて消えていた。


まあ、僕以外は皆縦走だろうから、そんなもんだろう。




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しばらくテントの中でヌクヌクする。
この時間がたまらなく気持ちが良いわけだ。

ただそれは、本気で帰りたくなくなる危ない時間でもある。


そんな僕に
「あんたいい加減にしなさいよ。」
とでも急かすように、日差しはスッと雲の中に隠れた。

(これはいかん。天気が崩れる前に・・・)
と、スパッと撤収準備をする。


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9時15分


パッキングが完了し、三ッ岳に別れを告げる。

すると、ドッと風が吹いて、辺りに落ち葉が舞った。




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(なかなか粋なお別れの挨拶じゃないか。)

と、都合の良い解釈をしてザックを背負った。


辺りは一瞬にしてガスに包まれた。




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あとは来た道を引き返すだけ。

休憩もそこそこに、黙々と足を動かし続けた。


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12時15分

ブナ立尾根を歩き終える。




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そのブナ立尾根下山の道中で

僕はひとつの決断を下す事を決めた。


そういう意味でも
このソロ山行はいつまでも思い出として深い味わいを残す。


まあ、それについては後でゆっくりと書く事にする。


ひとつだけ言える事は
自分にとってととてもポジティブなものであるという事。

光がみえた。




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その長いリアルなトンネルを抜けたと同時に


雨がバッと降り出した。


ははっ。

僕らしい。


ザックを下ろし、傘を取り出した。

公衆電話のダイヤルを回す。


13時


迎えのタクシーがやってきた。


僕は現実に戻った。




~おわり~
by inouewood | 2015-10-28 23:55 | 山のこと
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