剱岳 白の記憶 PART5


PART1はコチラ
PART2はコチラ
PART3はコチラ
PART4はコチラ

・・・・


テント村に戻る。




f0167636_1261951.jpg








・・・・


揺れるヒゲ。




f0167636_127311.jpg




気が楽になったこの区間の約40分。

思いのほか花が沢山咲いていてなかなか進まなかった。



15時。

剱沢テント場




f0167636_1275555.jpg




これでホントに一息。




f0167636_1281746.jpg




良い物を食べたばかりで
あまりおつまみが減らない中、ちびちびとお酒を消化する。

キム兄は眠気マックスのため、途中で一度ご就寝。


フラフラとテント村を歩き回る。


それにしてもテントが多い。いつの間にこんなに。




f0167636_1283717.jpg




16時30分を過ぎたあたりでキム兄を起こし、再び飲む。

さすがにお腹が減らないので、夕食は二人とも簡単に済ます。

僕はお茶漬けだけ食べて終わり。




f0167636_1285682.jpg




テント場に戻ってきてからというもの
晴れ間が見えたのはほんの一瞬だけ。

それでも昨日よりは暖かく、過ごしやすい時間だった。

日の入り前
一瞬だけ空が明るくなった。

他の登山者も、その瞬間は逃さなかった。




f0167636_1291361.jpg




さて、寝る前にコイツで歯を磨いて・・・




f0167636_1293275.jpg




18時30分にもならない時間に
2人はそれぞれテントに潜り込む。

僕はいつも通り、カメラの画像を整理中に睡魔に襲われるのを待ったが
この日はそれがなかった。


では、音楽でも聞いて眠気を誘い込もうと、iPodを取り出す。

春先に初めて聞いて

「これは是非、山で聞きたいな。」

と惚れこんだ曲があった。




f0167636_2310972.jpg




『白い色は恋人の色』 by ベッツィ&クリス

ハワイ出身のおねえちゃん2人組の優しい歌声。

心が和む。

そんな、綺麗な日本語で歌い上げる詩の中に、こんな一節がある。

”ふるさとのあの人の あの人の足もとに咲く白百合の 花びらの白い色は 恋人の色”

まあ、別に詩はあまり興味がないのでどうでもいいのだが(失礼)
このパートのメロディが、”懐かしいメルヘン田舎道”を思わせ
風に揺れるススキのように、心が優しく揺れるわけだ。
 

何度もリピートして、フワフワした誘いを受け入れる。

よし、と眠りに就こうとイヤホンを外す。


すると、どこからか話声が漏れまくっている。


近くにテントを張っているおねえちゃん3人組の笑い声。

心が荒れる。


完全に眠りは妨げられていた。

(いくらなんでも漏れ過ぎだろう。誰か注意してくれよ。)

と、少し苛立ち始めるも、隣のキム兄はグゴーと音を立てて寝ている。

気になって寝れないのは僕だけか・・・。

仕方ないので、今度は読書で時間を潰す事にした。

21時を過ぎてようやく外の話声が止み、それとほぼ同時に眠りの支度をすると
あっという間に眠りに堕ちた。



・・・・



外を歩く足音で目が覚めた。

時計を見ると3時30分。

さすが、剱の朝は早い。




f0167636_130588.jpg




6時

再度の眠りから覚めると
テントは約半数が既に減っていた。

朝ご飯は簡単に。




f0167636_1302156.jpg




最近の山モーニングの定番・フリーズドライのオニオンスープ。
これがセブンイレブンで買えるやつなのだが、味のクオリティが相当高い。
これはホントにおススメである。


・・・・


さて、3日目はこの後が雨予報になっている。

天気さえ良ければ、いつも通り9時くらいまでボヤボヤしていたいものだが

「雨が降られる前に戻りたい。」という事で、早めの撤収。

とは言っても

パッキングが終了したのは8時。

この辺ののんびり具合は相変わらずである。




f0167636_1304339.jpg




さようなら、剱岳。




f0167636_1472877.jpg




さて、この日は初日歩いてきた道を引き返すのみ。

45分ほど歩いて別山乗越に到着。

剱御前小舎の前ではスタッフの方が
「ヘリきまーす。」とワタワタしながら登山者を誘導していた。

なんだここに停まるのかと思い、他の登山者と小屋の影で待機しているが
なかなかそれはやってこなかった。

そうこうしていると
雨がポツポツと落ちてきて、数分後には本降りになった。

思ってたよりも早かったな。


・・・・


さて、その後も少し待機していたがヘリはやってこないので
スササーと別山尾根に移動して下山を再開した。。

そこで大日岳方面を振り返る。

それを見た瞬間

「キム兄。やっぱりあっち歩きたい。」

と、その稜線の美しさに一瞬で見惚れた。

初日はガスで全く見えなかったので、その感動はひとしおだった。

そちらのルートから行っても、途中の新室堂乗越で雷鳥沢に戻る事が出来る。

キム兄は即OKを出してくれた。


小屋まで戻り、ルートを変えた。

これだ。




f0167636_1481741.jpg




こりゃいい。

と、早くも感動に浸った瞬間だった。

「ゴゴゴゴ・・・」

という音が聞こえて、別山乗越を見上げると


「ドンッ!!!」

という音と共に
剱沢方面から飛んできたヘリコプターが別山乗越を猛スピードで抜けていった。

あまりの衝撃に

「うわぁーーーー!!」

2人の反応は全く一緒だった。

ヘリが小舎前でホバリングするものだと思っていたから、まさかの猛通過に心臓が飛び上がった。

その迫力はまさに、丘を突如ヘリが越えてくる映画のワンシーンのようだった。


テンションが更に上がって再び歩き出す。

立山方面が美しい。

手前の尾根が、初日に登ってきた別山尾根だ。




f0167636_1483756.jpg




雨が降っていなければ
これまた最高の稜線歩きである。


こうやって見ると
やはり大日岳方面も激しく気になるな。




f0167636_149920.jpg




新室堂乗越で、進路を雷鳥沢方面に変える。

次は是非あちらにも行ってみたい。




f0167636_150159.jpg




来た道を振り返る。

小舎はもう小さくて見えない。


さようなら。




f0167636_1505625.jpg




旅が終わる。




f0167636_1502138.jpg




気が付けば雨も止み、時折陽も差すほど天気は回復した。


11時

雷鳥沢キャンプ場。




f0167636_1513339.jpg




ああ、ダメだ。
ここでテント張りたい。

来年はここにテントを張って
立山か大日岳だけで2泊しようと、キム兄と夢を語る。


・・・・


完全に「ここまでくればもう終わり」状態だったのだが

実はここからがむしろ急登で、一度気が抜けた体は半端なく重かった。

さようなら、キャンプ場。




f0167636_1515065.jpg





みくりが池あたりまでくると、観光客が一気に増える。

うーん、なんか違う。今までの雰囲気は完全に消えた。


ただ、もちろんそれは美しい。




f0167636_1521248.jpg




12時

室堂に帰還。




f0167636_0305526.jpg




バスの時刻表を見ると
次の便はどうやら10分後。

人でごった返す室堂には何の魅力も感じなかった。

一息つくこともなく
そのままの足でバスに乗り込んだ。



・・・・



いつもと違って
ちょっとした緊張感の中で過ごした今回の山旅。

終わってみれば、もちろん最高の山旅だった。


剱岳という日本を代表する名峰と向き合った”もったいない登山”な男たち。

手に入れたものはとても大きかった。

それはもちろん、ピークがどうだとかいう話ではなく

やはり僕らには厳つい山は似合わないという確信だった。

完全なる畑違い。でも、最高にステキな畑違い。


自分たちの”庭”がいつになく恋しかった。


それを教えてくれた、貴重な山旅。

それは静かに終わった。



・・・・



後日。

今回参加出来なかったアイロニスト・カジさん。

本当に悔しかったようで、彼の野望はまだ燃え続けていた。

「ホントに申し訳ないんだけど、2年連続で剱岳とか登ってくれない?」

彼の切なる願い。



僕とキム兄の答えは・・・

まあ、それは書くまでもない。




おわり
by inouewood | 2015-09-05 00:56 | 山のこと
<< 室堂はすでに秋 剱岳 白の記憶 PART4 >>