映画『セッション』はどうだ


やってまいりました話題の鬼教官映画です。



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とりあえずこの映画。「スポ根サクセスムービー」ではありません。
なんていうか・・・“音楽”を身に纏ったアクションスリラーとでもいいましょうか。そんな感じです。

さあ何ていっても、注目はオスカー穫った助演のJ・K・シモンズですね。
彼の鬼気迫る怪演を楽しみに見てきたわけですが・・・まあ予想の更に上をいく殺人級の口撃と睨み。いやはやこっちの背筋までピーンと張るほどの緊張感でした。

ここから早くもガッツリネタバレします!
同じく鬼しごき映画の傑作『フルメタルジャケット』の最狂鬼教官・ハートマンと比べられるようですが、個人的には超えてますね。もうたちが悪いすぎです。ラストは怨念入ってますからね(笑)。
この鬼教官は本当に育てたかったのか、それとも本気で潰したかったのか、僕にはよく分かりませんでしたし、むしろそこは考えたくないです。観る者のそんな思考さえもぶち壊す狂気。意図の見えない恐ろしさという点ではある意味ホラーといったところでしょうか。

さあそして何ていっても、実はそれ以上の狂気を見せるのがマイルズ・テラーくんなわけですね。
鬼教官にばかりその辺持ってかれる印象の宣伝ですが、そんな事ないですから。彼も相当狂ってますから(笑)。
ラストに待つこの狂気VS狂気のまさに“狂演”はもはやアクション映画を超える壮絶な乱打戦で手に汗握りまくり。そしてラストに待つ妙なスッキリ感(あえてカタルシスなんて言葉は使いません)。これはもう震えましたよ。
マイナス×マイナスがプラスになるように、狂気×狂気は快感になるんじゃねーかってとこですね(ポジティブ過ぎか?)。実際ラストのラストにようやく通じあったような2人の描写が・・・いやもうそれでいいです。そう思わせてください。スッキリしたもん勝ちです。

監督はこれがデビュー作となるデイミアン・チャゼル。実際に本人も学生の頃に同様の鬼シゴキを受けたようですので、半実話といったところでしょうか。ただ、本当にフィクションである事をうまく利用してますし、アクション映画風に仕立てた手腕はお見事だと思いました。って言いますのも、アクション映画やコメディ映画ってあり得ない展開でも「フー!」なんて言って許されちゃうわけですが、これが人間ドラマを扱った映画となると「や、あり得ないよね。」なんて冷めた反応されちゃうんですね。チャゼル監督はこのジャンルの微妙な境界線とこの矛盾に対して果敢にチャレンジした印象を受けるんです。神聖なカーネギーホールであんなことさせちゃうんですからね。「え?だってフィクションだろ?」とか言ってね。新人にしてこの度胸。アッパレ、チャゼルさん。

次作が楽しみな監督さんがまた一人増えました。
by inouewood | 2015-05-29 12:34 | 映画のこと
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