映画『それでも夜は明ける』はどうだ


アカデミー賞が好きそうな作品ですね。
はい、そんな黒人奴隷を扱った作品賞受賞作です。



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まず、原題が『12 years a slave』というわけですが、残念ながら12年という月日の長さは感じません。それがいまいちグッと・・・いや、これはS・マックィーン監督の狙いなのかもしれません。そうとしか思えない。ここはそれを汲み取れなかった僕がまだまだ甘ちゃんなのでしょう。恐れ入ります。
さてこの監督、独特の長回しで我々にその空気を強制的に触れさせ挑発します。中でも「つま先立ち」のシーンはとにかく強烈。皆、自分が生きる事に必死で、同じように我々にも手が出せないもどかしさを突きつけ・・・この感覚は初めてですね。

主演のキウェテル・イジョフォーや助演女優賞を獲ったルピタ・ニョンゴが素晴らしいのはもちろんですが、個人的にはやはりマイケル・ファスベンダーですよ。あの狂乱の中に潜む苦悩の表現はまさに怪演。B・カンバーバッチにも言えることですが、奴隷を雇う側でさえも時代に翻弄されている虚しさが要所要所で溢れます。M・ファスベンダーはそれがより濃く浮き上がり、あれだけの狂気にもどこか憎めない自分がいます。

悪いのは人種の違いではなく、時代だ。

この映画にはそんなメッセージが潜んでいると勝手に解釈し、そしてそれを黒人監督が撮った事に意義があるのだと思う事にします。ラストはしっかり目を潤ませした。

よくある伝記モノの体をなさなかった事がとても新鮮な作品でした。


by inouewood | 2014-03-30 01:02 | 映画のこと
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