映画『グランド・ブダペスト・ホテル』はどうだ


やってまいりました。
ウェス・アンダーソン監督最新作。



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配給元がやたらと宣伝に力いれてますね。

あのTV宣伝は嫌いです。

・・・・・。
おっとポジティブレビューの場で失礼しました。

さて、彼の前作『ムーンライズ・キングダム』でもしっかり置いてけぼりにされた私ですが、この監督独特の世界観がどんどん凝ってきていて、雰囲気だけでも充分楽しめる映画にはなっているわけですが、まあ何よりもそんな美術面のレベルアップ度が半端ないんですね。あぁ、『天才マックスの世界』あたりが何とも懐かしい~。

そんなこんなで今作ですが、前述の通り世界観がこれでもかというくらいスケールアップしています。もうホント、これだけで度胆抜かれます。それでいて、ロープウェイや展望台等の視覚効果で見せる「手を抜くところは抜く」そのチープなおシャレがまた可笑しさを増幅させるわけですが、その辺の加減とバランスがまた見事なんですよね。素晴らしい。

<以下、サラリとネタバレ>
まあなんて言っても、普通の映画なら真っ先に削るような『捨てカット』の多い事多い事。それさえも巧く利用する技が今作はとにかく冴えていて、廊下を歩くカットの連続なんて完全に無駄なのに、いちいちキレイな描写で「プッ!」っとさせられます。
更には「この建物どーなってんだ」的な脱獄シークエンスや、お馴染みビル・マーレーから始まる“同盟者”たちのクドいシークエンスなど、とにかく高インパクトなツッコミ所が満載でコチラも笑みが止まりません。
そしてなぜか個人的に一番ハマったのがソリのチェイスシーン。チープな展開で魅せる衝撃的なカーブシーンに「曲がんのかよ!」とひとりツッコミ大爆笑。いやはや…やられました。

さて、豪華の俳優陣にももちろん注目。
なんてったってレイフ・ファインズですよ。意外でした。こんな役までこなせるなんて。彼のハッスルっぷりはもう感動です。
いつものアンダーソン組は割とチョイ役が多く、彼とトニー・レヴォロリのコンビ芸(?)が主ですが、もうこれが秀逸。全く臆しない堂々たる演技を見せたトニー君のキャスティングはまさにホームラン。レイフ様と併せて2者連続ホームランでしょう。
他にも意表を突かれる登場のハーヴェイ・カイテル、お久しぶりジェフ・ゴールドブラム、らしいといえばらしいウィレム・デフォー。更にはフランス名優マチュー・アマルリックまで出ちゃう始末。で、しっかりこの世界観に収まっているわけですから、もうたまりません。

とりあえず言える事は、W・アンダーソン映画では間違いなく個人的にNO.1です。
彼の作品はちょっとでも見る側のペースが乱れると、完全にこちらが置いてかれる異色な人間喜劇的作品が多いので、今作のようなスラップスティック的な映画のほうがより気楽ですし、個人的にはありがたいんですね。

最後に、見事にまとまった音楽も最高でした。エンディングの楽曲なんかは、”コサック的ダンス”を踊るオジさんと一緒に、もうノリノリで聞き入ってしまいました。間違いなくサントラも買います。最後の最後まで楽しませてくれる、オシャレで笑えてルンルンなエンターテイメント。と、いったところでしょうか。あっぱれです。


by inouewood | 2014-06-19 00:24 | 映画のこと
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