映画 『6才のボクが、大人になるまで』 はどうだ


やっと観れました。

こちら栃木ではだいぶ遅れての公開であります。



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いやぁ、12年ですよ。
企画したエネルギッシュなR・リンクレイター監督を、僕は拝みたい気分です。
この映画、年に1回、1週間だけ集まって撮影を行う。それを実際に12年続けて作られたわけです。
しかも、最初からシナリオが出来ていたわけでなく、1年に1回話し合って決めるというスタイルだったそうです。
だとしたらどこかで「今年くらいはちょっと派手な展開でいこうよ!」なんて気まぐれも出てきそうですが、描かれるのは本当に普通の生活です(笑)。だからこそ生まれるリアル。僕にはそこが逆に痛快で痛快で。

この映画の偉業のひとつは、何よりも誰一人欠けることなく完遂した事ではないでしょうか。
そういった意味でも俳優さん達に恵まれたのであろうこの作品ですが、なんていってもメイソン少年を演じたエラー・コルトレーン君の奮闘、これはやはり外せませんよね。このフィクションと共に、彼の少年期(BOYHOOD)も同時に捧げた映画なわけです。そんな彼演じる6才だった少年が18才になり青年期へと突入するまでを皆で”暖かく”見守る映画なんですね。当たり前なんですけど、成長していく男の子がいずれも同じ目をしているんですよ。これはとても不思議な感覚でした。そして地味~に親父に似ていく描写がとても憎い(笑)。妙に説得力があったのはこの実際の成長を利用したからだと思っておるわけです。

お次は親父役のイーサン・ホーク。これはもう間違いないですよね。リンクレイター作品と言ったらやはり彼。それだけに「一人だけやたら”素”っぽい人がいるなぁ。」なんて感じたのですが、もちろんそれはホーク氏でした(笑)。彼の12年の中での変化もとても大きな役割を担います。(一つだけネタバレなのですが・・・)終盤に彼がハイスクールを卒業したメイソン君にちょっとしたアドバイスを送ります。そこでメイソン君がすかさず「で、要点はなに?」と問うと、彼は「要点なんかねーよ(笑)!!」と一言。いい加減っちゃいい加減なんですが(笑)親父の息子に対する願いと彼の送ってきた人生がこの一言に凝縮しているわけです。どんなに説教臭い映画よりもよっぽど響くセリフだなぁと、感慨深くなったもんです。

母親役のパトリシア・アークエットも忘れてはいけませんね。最初に12年前の姿を見て「さすが、あんまり変わってないなぁ。」なんて思ったわけですが、それもそのはず、僕の中でパトリシア嬢のイメージは10年前くらいで止まっていたわけですね(笑)。なんだそーいうことか。と、そんな事はドーデもよくて、時が経つにつれて彼女もいろいろな意味で貫録が増していきます。その変化はまさに”メリル・ストリープ化”といったところですね。子供と仕事に必死に打ち込む姿にホントに「ご苦労さま」と声をかけてあげたくなりました。これは親父のイーサンにも言える事なのですが、子供たちの成長を描くという事は同時に親たちの衰えも描かれるという事。そんな彼らの姿を見て「時というものは・・・」なんて、鑑賞後にひとり浸るわけです。

最後に、時間だけみると165分という長い映画ですが、正直全然長く感じませんでした。むしろもっと長くても良い。それくらいハマりました。でも「実際に12年・・・」云々の事情を知らずに観たら、ここまでハマらなかったかもしれませんね。
そんなこんなで、製作面のバックボーンを知る事でより楽しめる、なんだか新しいエンタメを体験した印象でした。

改めて、「映画って凄いなぁ。」と、思わされた一本です。


<追記>
パトリシア嬢はおそらくアカデミー賞助演女優賞獲るでしょう。
もし獲らなかったら・・・まあ何も起きません。

・・・・。

失礼しました。
by inouewood | 2015-02-01 00:39 | 映画のこと
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