映画『第9地区』を観る

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宣伝のうまさで感心を惹きつけたこの映画。CMで結構見せちゃって惜しいなぁ、なんて思っていのだが、実際は全然見せていなかった。うまいなー。
興味は凄いあったが、なぜかそんなには期待はしていなかった。なんじゃそりゃ。でも実際そんな感じで観に行ってみました。


とにかく、すべての設定がうまい。
宇宙人の立場が面白く、気持ち悪さすら感じる外見に反して、なぜか子供は可愛ささえ感じる。主人公の心情の変化も一気に変わらないところがちょっと憎く、普通ならヒロイズム全開だろうが、そんなことはない最後の最後まで私利私欲。この心理描写って意外とハリウッドは嫌うケースが多いからすごい新鮮だった。
南アフリカが舞台なところがやけにリアル感を引き出す内容で、逆に言えばヨハネスブルグじゃなかったらペラッペラな映画で終わっていたような気もする。深い練りこまれた脚本だとは思わないが、そう思わせてしまうところがうまい。アパルトヘイトを連想させる設定だけに、中には社会的だと語る方も多いだろうが、個人的にはそこまでそうは思わない。人種云々の問題提起は従来のその手の映画と比べれば薄いと思うし、そういう事よりもどちらかというと「それが人間」という淡々と且つスマートなヒューマニティの描き方だと感じた。凄い事にこの映画は少しでも美化しようとする「狙ったり」なドラマではなく、出来るだけ醜化して現代人のリアル本能に通ずるものひけらかして反応を楽しんでいるSFだという事。なかなか出来ないですよこんな事。
後半は怒涛のアクションの連発。ちょっとグロすぎてさすがの僕もちょっとゲンナリしそうにもなる。あの辺はもうちょっと柔らかく・・・ねぇ。
まあ、ある程度のグロい映像に耐えられて、ちょっとでも興味がある方は是非です。
「?」な箇所を掘り下げようとすると、この映画は楽しめないしおススメもしません。
とにかく、スッと観てスッと飲み込めば、切ないラストにグッと感じるものがあるはずです。

満足度
☆☆☆☆
おススメ度
☆☆☆☆
by inouewood | 2010-05-02 00:54 | 映画のこと
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